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動画撮影とNDフィルター [カメラ]

※ お断り
今回は、物理的なことをうんちく語りますので、興味のない方はスルーしてください。

ます、動画撮影の前に、スチル(静止画)撮影について考えます。
スチルの場合は、シャッター速度(SS)、絞り値(F値)、ISO感度(ISO)で露光量が決まりますね。
露光量とは、カメラの撮影をするイメージセンサーに当たる光の量のことです。

20231115-DSC00424_R.jpg

動きの速いものを撮るなら1/500(五百分の一)秒などにSSを上げると、細部までブレなく撮れます。
ポートレートなど背景をぼかしたいなら、F値を開放(下げて)して被写体だけにピントを合うようにします。
ISOは暗闇でもない限りは、自動で十分です。

しかし、動画の場合はそうはいきません。
動画の場合は、SS、F値、ISOの他に、フレームレート(fps)が関わってきます。
fps(frame per second)とは、1秒間にどのくらいの画像を表示するかということです。
パラパラ漫画を想像するを理解できます。
1秒間に10枚の絵では動きがカクカクしますが、1秒間に30枚になると滑らかになりますね。
これをfpsといいます。

テレビは30fpsと言われています。
1秒間に30枚の絵を流しています。
映画は24fpsと言われています。
映画では、動く人を見ていると、何となく動きがもっさりしていますよね。

さて、動画に話を戻します。
動画では、fpsはシネマチックにしたいなら24で、通常は30です。
実は、このfpsとSSには切っても切り離せない関係があり、SSはfpsの2倍が適正と言われています。
24fpsならSS50、30fpsならSS60ということです。
fpsを決めたら、基本、SSは固定しなければいけません。
SSを上げ過ぎて撮影すると、実際に目で見る映像とは違って見えてきます。
人間の目は動くものの残像を残しながら見ているからです。
しかし、SSを上げ過ぎるとブレがなくなるため残像がなくなります。
残像のないコマが次々繋がっていくので、違和感を覚えるのです。

SSを固定するためにはF値を絞って(上げて)行けばいいのですが、F値を上げ過ぎると回折現象というのが起こって光が通常ではあり得ない方向に屈折します。
そうすると、はっきりとした映像にならなくなり、ピントが合っていないように見えます。
(アマチュア無線では、これを利用して通常では電波が回り込めないところと通信できることもありますが、これはまた別で)
また、F値を開放(下げて)して背景をぼかすこともできません。

そこで、光の量を調整するためにNDフィルターの出番となるのです。

日中に動画撮影をするにあたり、可変NDフィルターを購入しました。

DSC09456_R.JPG

しかし、1諭吉さんほどの安い可変NDフィルターなので、NDの番数を上げていく(光の量を減らしていく)とどうしても「X」状のムラが出てきてしまいます。
広角レンズ(50mm以下)だとその状態が顕著です。
そこで、考えたのが固定NDと可変NDフィルターの併用です。

20231115-DSC00422_R.jpg

まず、レンズにND8の固定を付け、その次に可変NDフィルターを付けて見ました。
NDフィルターを重ねた場合、減光量は乗算になります。
ND8なので、8×可変NDフィルター番数が減光量です。
これにより、可変NDフィルターの番数を上げることなく調整できるようになりました。
ボケを生かしながら「X」状のムラなく撮影もできるようになりました。

焦点距離20mmの広角レンズだったので、フィルター2枚付けるとケラレ(フィルターの枠が動画に写ってしまう)が出るんじゃないかと心配しましたが、それも大丈夫でした。

安い可変NDフィルター使って動画撮影されている方の参考になればと思います。
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